「居心地のよさ」追求で回転率低下という深刻な課題

「居心地のよさ」と回転率・・。これらのことは士業の場合にも言えます。
回転率を上げようとすると顧客は反対に離れていきます。単に居心地の良さを追求すると売上が上がらないリスクが生じます。
価格が安くても、サービスに満足を得られない場合も同様です。安くて、高サービス。高いが、低サービス・・。私どもは、単一のジャンルよりも、皆様の求めるサービスにおいて、安くて高サービスを追求しています。

さて、スターバックスコーヒーは、相変わらず人気があります。こうした人気は大学生においても目立っています。しかしながら、若者の車離れや酒離れ同様、コーヒー離れも深刻なようで、スタバに行っても注文するのはフラペチーノなど、ドリップコーヒー以外の商品が中心となっています。

2011年のロゴマークの変更により、人魚の周りを取り巻く「STARBUCKS COFFEE」の文字がなくなり、今のロゴとなったわけですが、その理由はスターバックスはコーヒーいう狭い枠組みからの脱却であると聞いたことがあります。
ドリップコーヒー以外の商品を提供する戦略は、当初アメリカではオペレーションがうまくいかず、「大混雑」「顧客満足が大きく低下」などと一部で不評の声が上がりましたが、今はだいぶん落ち着いてきているようです。

まさに飛ぶ鳥を落とす勢いのスタバですが、みなさんスタバの問題点および改善点について何か挙げることができますか?

心地よい経験の提供 vs 回転率の向上

また、「勉強していたら、店を出ていくように言われました」という学生の言葉には大変驚かされました。
低価格を強く訴求するファーストフード店ではよく聞く話ですが、そのようなことが行われているというのは、にわかに信じがたいことです。

というのは、スタバが重要視する理念の一つに「サードプレイス(第3の場所)」というものがあります。ファーストプレイスは自宅、セカンドプレイスは職場を意味し、その間にあるサードプレイスで心地よい時間を提供することがスタバのコンセプトであり、こうした考えと真っ向から反対することが実施されているからです。

いまや世界を代表するカフェといえるスタバですが、日本国内での値段を比較すると、スタバはドトールのおよそ1.5倍です。この差をが許容するのは、コーヒー自体の味の違いよりも、上質な机や椅子、ゆとりあるスペースといった店舗の雰囲気のよさにより、いわゆる経験的価値を得ているからでしょう。

シアトル本社でスタッフにインタビューしたことがあるのですが、彼はスタバの強みに関して、コーヒー以上に“インテリア”や“空間づくり”を強調していました。

スタバの強みである居心地のよさにより、長居する客が増加して回転率が低下するというのは、なんとも皮肉な話です。
シアトルでスタバをはじめとしてカフェを数多く回りましたが、日本と違ってテイクアウト客の多いことが強く印象に残っています。
仮に座席の回転率が悪くとも、店全体の売り上げはある程度の数字が残せるでしょう。また、長居する客の割合や時間が、日本ほどはひどくないとも感じました。

こうした消費者購買行動の相違は文化に依存する部分も多く、1つの企業の力によってコントロールすることはなかなか難しいと思います。

サードプレイスというコンセプトは、アメリカでは比較的容易に実現できても、日本においてはスタバ人気が高まれば高まるほど、深刻な課題となってくるのかもしれません。

このエントリーをはてなブックマークに追加